ちょっと一息:海外駐在員コラム

アメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、そして中国より現地での体験談や話題など様々な情報をお届けいたします。

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中国編

第5話 「中国人の生活の中の楽しみについて」
2007/2/6
AT&T 中国駐在員 石原和恵

今回もあえて、日本から見えにくい中国人の生活に触れてみたいと思います。

AT&T入っているビルのとなりには、公園があり、そこを通り抜けて出勤しています。この公園は2つの部分で構成され、一つは道路に面して広場になっている部分、もう一つの奥手はテーブルと椅子、遊戯具等がやが備え付けられ、周囲には遊歩道になっており、植物もいろいろ植えられています。

この公園が一番混雑する時間、それは朝の7時から8時半までで、気候が良ければ小さな村のお祭りのようなにぎわいです。ラジカセを持ち込み刀やスカーフを持ってダンスをするグループ、太鼓を腰にたすきでくくり叩きながら踊るグループ。おばちゃん先生の意気込みもこちらまで伝わります。もちろん、中国ならではの太極拳をしている姿や、バトミントンをしている人もいます。1日の活動が始まる前に体を動かし社交もできて一石二鳥です。

お昼近くになっていると、トランプをしているグループが目に入ります。これはおじちゃん達がメインです。今は冬ですから、コートを着込み人によっては帽子に手袋、更に水筒を持ってお茶をすすりながらをしてトランプをしています。回りには観戦する人たちもいます。ポリタンクをドラム代わりにしハンドマイクを握りしめカラオケを熱唱するグループがいたり、二胡(中国三味線)を弾いている人もいます。中国人同士がすれ違った時に、「もう退社?今日は早いじゃない」という会話が聞こえてきました。

近くには人口の池があるのですが、その周りで夏の夜にはディスコさながらの音楽が聞こえてきます。そこには2重3重の人だかりで、それをかき分けて覗き込むと中心には4−5人ぐらいのおばちゃん達が皆の視線を受けて自慢げに踊っています。中国人というのは、日々の生活の中に楽しみをたくさんもっているものだと思います。

どうしてこのような庶民の暮らしが目にはいるのか、というと、このビジネス街の真後ろが昔ながらの居住区だからです。

この居住区は古い上海の庶民の暮らしぶりが目に入ります。細い行き止まりの通路の左右に小さな長屋のような家がならび、入り口の脇はすぐ台所、2階が寝室です。トイレは各家にはなく別棟の共用で、お風呂もありません。道路側にある水道で顔を洗ったり歯を磨いたりしている姿を見かけます。その時にはパジャマ姿だったりするわけですが、時にはそのままの格好で近所のコンビニまで御遣いに出てしまいます。するとオフィスビルの近くでパジャマでうろうろする人がでてきてしまうわけです。パジャマで町を歩くのは止めましょうという広告が新聞にのったほどです。

共産主義の下では、土地は個人のものではありません。政府の計画の元、この古い居住区を一斉に立ち退きをさせて、高層のビルが建設されていきます。外国から大量の資金投入によって、タイムスリップしたように突然高層のオフィス街やマンションが建設されてしまうのです。もしも民主主義でしたら、このような一斉立ち退きの再開発は不可能でしょう。この共産主義体制が今日の中国の成長を支えているのです。

オフィス街裏手のこの古い居住区も再開発が迫っているかもしれません。パジャマで歩く人たちや元気に踊るおばちゃんに会えなくなってしまう日が近づいていると思うと、彼らがとても貴重な人たちに見えてきます。彼らの住居が新しい土地に移された時に、こんな楽しみを持ち続けることができるのだろうかと思うとちょっぴり切なく、せめてこのおじちゃん、おばちゃんが元気な間はこの開発が滞っていて欲しい、そんな事を思いつつ、ここ上海のオフィスビルと古い住居の間の町並みの間を通り過ぎています。

石原和恵

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