ちょっと一息:海外駐在員コラム
アメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、そして中国より現地での体験談や話題など様々な情報をお届けいたします。
シンガポール編
- 第8話 「サザンクロス(南十字星)の独り言−サザンクロスの見たカジノロワイヤル−」
- 2008/4/14
- AT&T シンガポール駐在員 蛭間
シンガポールの名前はマレー語のシンガ(ライオン)プーラ(島)から来ています。
その昔、マレーの王子がこの島のそばを船で通った時に見た猛獣をライオンと思ったところから、その名前がついたといわれていますが、実際に見たものはトラだったのではないかと言われています。有名なマーライオンはそのシンガ(ライオン)のイメージから作られた伝説の生き物だそうです。
皆さん、こんにちは、シンガポールの蛭間です。今までシンガポールや東南アジアの話題を「サザンクロス(南十字星)の独り言」として折りを見てご紹介させていただきましたが、この度、日本へ帰国する事になりました。今までのご愛顧を感謝し、シンガポール駐在最後のコラムをお送りしたいと思います。
金融、国際物流産業とともに、観光産業にも強みをもっていたシンガポールは、中国などが急成長した2000年以降、自国経済の成長戦略が思うように描けない状況に陥りました。これまで東南アジアの中心として機能してきた物流についても、隣国との厳しい競争にさらされました。2007年のデータによるとアジア全体では年平均6・5%程度の成長を続けていた観光産業も、シンガポールに限ると同15%以上のマイナス。そうした事態を踏まえて、外資も活用した観光インフラの再構築が求められました。 その打開策として2005年に鳴り物入りで発表されたのがカジノ事業でした。
現在、2009年開業を目指して、セントーサ島と橋を挟んで対岸に近いマリーナエリアの2カ所でカジノを軸にしたメガリゾート建設が急ピッチに進んでいます。2005年当時、この事業で今後3年間に1兆円以上の開発投資が流れ込むと予測されました。
それがトリガーになったのか、その後高級マンションの建設ラッシュとなり、不動産価格が上昇、2008年には賃貸家賃の契約更新は150%から200%の上昇と、考えられない状態になりました。その影響は、ホテル産業にも及び、2007年と2008年の価格は80%以上の上昇となっています。2008年にはF1グランプリがシンガポールに誘致されて、その期間のホテル料金はもう殺人的な値段です。その上2010年にはユニバーサルスタジオが上陸する計画が進んでいて観光産業に関する話題が豊富なのが、今のシンガポールです。
好況に沸く2008年のシンガポール。この繁栄が永遠に続くのか、また、泡沫の夢として消え去るのか…まさに国運を賭けたカジノロワイヤルを横目に見ながら、帰国準備のために筆をおくサザンクロスでした。
