最新動向レポート

第52回 7割以上の人が利用経験あり!急拡大するネットバンキング

インターネットを利用して自宅のパソコンから自分の銀行口座の残高照会や送金などを行えるインターネットバンキング。その利便性は多くの人に理解され、浸透しているようだが、はたしてその利用実態はどうなのだろうか。マイボイスコムが過去7年間にわたって実施しているインターネットバンキングに関する調査から、現状と今後の普及状況を展望してみよう。

(2006/3/2)

−− 経済産業省などの発表によると、インターネットショッピングなどコンシューマ向けEコマースの市場規模は約5.6兆円にも達するそうです。ネットショッピングやネットオークションの愛好家は身近にいますが、インターネットバンキングとなると、いったいどのくらいの人が利用しているのかなかなかわからない。その意味では今回の調査結果の発表はとても興味深いものでした。

野尻私どもマイボイスコムは、一般の生活者とかかわりの深いテーマ、たとえば「恵方巻き」の認知度を探る調査や「花粉症」など、さまざまなテーマをピックアップして独自調査を展開しています。「恵方巻き」に関する調査の結果は朝日新聞などでも取り上げられましたよ(笑)。弊社が実施している生活者に密着した調査については、メディアの方々にも関心を持っていただけているようです。今回のインターネットバンキングに関する調査もその一環です。1999年に第1回を実施して以降、毎年、実施しています。今年で第7回目になりました。

具体的に調査結果の概要についてお話する前に、調査方法の概要について説明しておいたほうがよろしいかと思います。調査は、弊社のインターネットコミュニティ「MyVoice」の登録モニター約19万人を対象として、Webでのアンケート形式で実施しました。回答を得られたのは約14000名です。男女の比率などについては、男性が44%で女性が56%、年齢別では、30代が最も高く38%、ついで40代が24%、20代が22%となっていました。

−− 調査結果の概要を聞かせてください。

野尻今回の調査では「インターネットバンキングを利用したことがある」という回答が74.5%にもなりました。弊社では、このインターネットバンキングについての第1回目の調査を1999年に実施しましたが、そのときの利用経験率はなんと、たったの8.6%でした。過去の推移を分析してみると、2001年に8.6%から約22%にまで拡大し、2002年には44%、2003年には約60%にまで達しています。この7年間でインターネットが多くの家庭に普及したこと、とりわけブロードバンド環境、常時接続環境が急速に拡大したことが、ここまで利用経験率が高まってきた背景にはあると思います。

ただし、2004年の調査で利用経験率が67.7%となってからは、2005年が72.9%、今年が74.5%と、その「伸び率」に関してはやや鈍化してきたようにも感じています。利用経験率が下がってはいないのだから、利用者数は着実に拡大しているものの、インターネットバンキングを「利用してみようかな」という意識のある人たちは、そのほとんどの人たちが「使ってみました」という状況になったのではないか、だから伸び率がやや鈍ってきたのではないかと分析しています。

−− それはインターネットバンキングの利用者が、今後はそれほどには増えていかないということにもなるのですか?

野尻いいえ。今回の調査は、あくまでもマイボイスコムのモニターの方々を対象にしたものです。しかも、Webによるアンケート形式ですから、インターネットの利用環境が整っている人たちが対象です。わかりやすく言えば、もともとインターネットバンキングを利用できる環境にあった人たちについて、その利用経験率が74.5%になったということにもなるのです。今、ブロードバンド利用者が約3000万人とされていますが、裏を返せば、まだブロードバンドの利用環境が整っていない人たちもいるということ。そういった人たちは、もちろん今回のアンケート調査には加わってはいません。そういった人たちでも、もちろん銀行口座や郵便局の口座は開設しているでしょう。そう考えると、まだまだインターネットバンキングの利用者数は伸びる余地があると思っています。

 −− インターネットバンキングを利用しようかどうしようか迷ったとき、自分の立場で考えてみると、インターネットバンキングを使うメリットがなかなか見えてこないのです。利用者の方々はどんなところにメリットを感じているのでしょうか。

野尻インターネットバンキングで、どんなサービスが利用されているのかを見てみましょう。最も高い比率で利用されているのは「預金口座情報照会・管理」で約58.0%の人たちが利用しています。その他には「ネットショッピングなどの決済サービス」が51.4%、送金が45.6%と利用されている割合が高いですね。「預金口座情報照会・管理」が利用率が高いのは、たしかに自分の銀行口座の残高や入出金の状況が深夜でも早朝でもインターネットですぐに確認できるのは便利だからでしょう。銀行やATMにまで足を運ばなくてもいい。あとは、ネットショッピングの決済についてインターネットバンキングで済ませられれば、クレジットカードの番号の入力もコンビニエンスストアでの決済も必要なくなります。さらに、送金については、たとえば給料日後の銀行などは、振込みやら送金やらの人たちで非常に込み合っているでしょう。それがインターネットでできてしまうのはとても便利です。そういったメリットを理解している人たちがインターネットバンキングを積極的に活用しているのではないでしょうか。

また、従来から多くの人に知られている大手の都市銀行でインターネットバンキングを利用している人たちは預金口座の情報照会などのサービスを利用する傾向が高いのですが、新たに誕生したインターネット専業銀行の利用者はインターネットバンキングの決済機能に利便性を感じているようです。考えるに比較的若い世代の利用者はインターネットで買い物したりオークションを楽しんで、その決済のサービスをインターネットバンキングに求めているのではないでしょうか。

−− たしかに使うことによるメリットは十分にありますね。しかし、その一方で使いたくはないなと思っている人たちもいるとは思います。

野尻たしかに今回の調査でも「今後、インターネットバンキングを利用したいと思いますか」というかという質問に対して、「積極的に利用したい」「利用したい」という回答が合計で約80%、「あまり利用したくない」「利用したくない」が合計約17%でした。2割弱の人たちは「使いたくない」と感じているのです。その理由はやはりセキュリティに不安があるからではないでしょうか。サービスを提供する金融機関側が安全性をアピールする、セキュリティについての啓蒙をする、あるいは万が一のトラブルの場合、たとえば不正にお金が引き出されてしまった場合などの保証制度など、セキュリティとフォローアップの体制について情報を公開し、利用者の不安を払拭する・・・。そうすれば、さらにインターネットバンキングの利用者は増えていくのではないでしょうか。

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