最新動向レポート

第54回 すでに約1500万人が読んでいる「ブログ」
その底力でWebマーケティングツールとしての活用も

  • ビデオリサーチインタラクティブ
  • 執行役員
  • 営業企画本部 本部長
  • 五十嵐 達 氏

インターネット上の「日記」として多くの人に利用されているブログ。個人が「情報発信する場」としての使い方だけではなく、最近ではブログを読む人が急増していることから、多くの企業がWebマーケティングツールとして活用し始めている。そんな状況の中、このほど「ブログの利用実態」を明らかにする調査結果が発表された。紹介しよう。

(2006/4/28)

−− 一般のインターネット利用者でブログを開設したり閲覧したりする人が急増しているようです。御社ではこのほど「ブログの視聴動向」に関する調査結果を発表されました。まずは、調査の概要について聞かせてください。

五十嵐弊社は家庭内におけるPCインターネットによるWebサイトのアクセス状況、いわゆる“Webサイトの視聴率”を調査し提供している会社です。2000年4月から調査を開始しており、現在、約13,000人(約6,000世帯)の家庭内PCインターネットユーザーのパネルを構築し運営しています。具体的な測定方法は、それぞれの家庭のパソコンに、アクセスしたURL情報などを記録する専用ソフトをインストールし、その視聴データが収集サーバに送信されるという仕組みで、弊社が提供しているASP『Web Report』にて集計分析が可能になっています。閲覧したURLをページレベルまで取得しているので、ブログについてもドメインやサブドメインレベルで抽出することで、「どのブログを読みにいったのか」「どの程度の滞在時間があったのか」などがわかるのです。

今回発表した調査結果の集計対象期間は2005年10月から2006年3月までの直近の半年間です。この期間に、インターネットユーザーがどれくらいブログを視聴しているかをまとめました。総務省では2005年10月に「ブログ・SNSの登録者数」を発表していますが、この調査に協力したブログサービスを提供している事業者をベースに37社計55サービスを抽出し、これらが日本の主要なブログサービスであると考え、「集計対象期間中にブログをいかに視聴したか」を集計・分析したのです。抽出した37社55サービスは、楽天広場、ココログ、Yahoo!ブログ、はてなダイアリー、livedoor Blogなどです。メジャーなところを中心に、日本のブログサービスのある程度はカバーできていると考えています。

−− なるほど「どのブログサービスを利用していますか」「週に何回、ブログサービスを利用していますか」といった「アンケート調査」ではないのですね。より正確にリアルな視聴動向、利用動向が把握できる調査であるといえると思います。さて、その調査結果で特長的なことはどのようなことだったのでしょうか。

五十嵐まず、月間のユニークな推定訪問者数は、2005年10月時点の1369万人から約90万人増加して、2006年3月には1456万人となりました。この半年間の約90万人の増加をどう見るか・・・。依然として「高い増加傾向を示している」とはいえますが、「急増した」「急増している」状況が継続的に進行中ではないと分析しています。

むしろ注目すべきは、2006年3月時点でのブログサイト訪問者の平均視聴ページ数が「97.2ページ」と100ページの大台に近づいてきていることです。ページビューがアップしているのです。あわせて1カ月間のブログサービスやブログサイトへの平均接触回数をみると2005年10月時点が27.8回だったのに対し、31.4回にまで向上しています。しかも、平均滞在時間も2005年10月時点の約45分から2006年3月時点には約53分へと長くなっています。

これらの数値から分析すると、まず、「利用者数が急激に拡大していくといった傾向はひと段落した」といえます。ブログはホームページと比べると、簡単に作れるし、更新も簡単です。個人では日記や趣味の話、小説や自分の意見などを書いて発表する場として人気が高まり、加速度的にブロガーが増加してきました。さらには、検索エンジンの高度化も相乗して、ブログを視聴する利用者も急増したのですが、その傾向はここにきてどうやら落ち着きつつあります。それよりもページビュー、平均接触回数、平均滞在時間がどれも伸びていることから「気に入ったブログサイトを深堀りして読む」といった傾向が強まっていると考えられます。

−− なるほど「ブログって面白そうだぞ!」といった流行もあって利用者が急増した、いわば黎明期はそろそろ終わりを迎えつつある。手当たり次第にブログを楽しむのではなく、現在では利用者自身がお気に入りのブログサイトをいくつか見つけて、そこをしっかりと読み込むといった利用方法が定着しつつあるのかもしれませんね。
 ところで、現在、日本国内ではいったいどれくらいの人がブログを読んでいるのでしょか。いわば「ブログ人口」ともいうべきものは把握していますか。

五十嵐2005年10月から2006年3月までの半年間のユニークな推定訪問者数は約2210万人となりました。言い換えれば、この半年間の総ブログ人口が2210万人だったといえます。これは、もちろん「延べ人数」ではありません。ユニークな「ブログ人口」です。

−− この半年間に限って言えば、日本の総人口のだいたい6人に1人はブログサイトを訪れ、読んでいる・・・。こうなると、ブログは個人で楽しむといった用途だけでなく、たとえば、ブログを使って新商品の広告・宣伝をする、商品を売り込むなどWebマーケティングのツールとしても影響力を持ってきますね。

五十嵐総務省は2005年末に「企業におけるビジネスブログとビジネスSNSの活用事例」を発表しています。さらに2006年2月末には「日本ブログ協会」が設立されています。今後のブログの傾向としては「個人の情報発信」に加えて、「企業の情報発信」のためのツールとしての利用が促進されるものと予測されます。

ブログには、コミュニティを形成する力、そこでの「クチコミ」で商品やサービスの良し悪しの評判を広めていけるといった力、「底力」があるのです。そこを企業も見逃す手はない、いや、見逃すことができなくなってきているのです。たとえば自社の商品の「開発物語」などをブログで情報発信することで、その商品のファンが集まり、その人たちのコミュニケーションが強まり、企業・商品へのロイヤリティが高まり、さらには改善提案が寄せられたりもする。そういった意見を次の商品開発へと結び付けていく。企業と消費者をつなぐ「コミュニケーションツール」、商品開発の「アイデアを収集するためのツール」としての使い方も可能なのです。現在、多くの人に利用されているインターネットブラウザ「Internet Explorer」の次期バージョン「IE7」ではRSSリーダー機能が標準で搭載されます。そうなると興味のあるブログの更新状況が素早くわかるようになり、アクセスが増えることが予測されます。今後、さらにブログの利用が活性化されていくでしょう。

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