最新動向レポート

第69回 利用者の視線の動きで検索エンジンの利用実態を調査

検索エンジンの上位に表示されなければ、そのサイトは利用者の意識に残らない・・・。果たして本当なのだろうか。インターネットの利用者は、本当に上位にランクインしたサイトにしかアクセスしないのだろうか。そんな疑問を解決すべく、利用者の視線の動きに着目した利用実態調査が実施された。どのような結果が明らかになったのだろうか。

(2007/8/10)

−− 「Web Eye」(ウェブ・アイ)と呼ばれる手法で、一般の利用者に人気の検索エンジンの利用実態について調査をして、その結果を公開していますね。まずは、Web Eyeという手法について教えてください。

渡辺Web Eyeとは、パソコンの画面上の「利用者の目線の動き」を測定するアイ・トラッキング機器を使った分析の手法です。目線の動きを測定するだけでなく、利用者が、どの部分をクリックしたかといった位置やタイミングなどの情報も収集できます。今回、この手法を使って、利用者が検索エンジンを実際には「どのように利用しているのか」を明らかにする調査を実施しました。

−− このような調査を実施した経緯について聞かせてください。

渡辺ホームページを開設している多くの企業、個人は、自社サイトに利用者を誘導するために、さまざまな工夫を凝らしています。検索エンジンの上位に表示されたいと思い、ページ内にキーワードを入れたりするのもその1つです。物販などのサイトでは、検索エンジンの上位、それも1位や2位に表示されなければ「誰にもアクセスしてもらえない」とさえ言われていますね。しかし、本当なのでしょうか。弊社は、検索エンジンマーケティングを手がけていく中で、そこに疑問を抱いたのです。

検索エンジンを効果的に使ったマーケティングの手法としては、単なる上位表示だけではなく、タイトルや説明文の最適化、自然検索結果と検索連動型広告を同時表示させる手法、などもあげられます。単に1位、2位に表示させるのではなく、クリックされる確率をアップさせることで、自社サイトへの誘導を増加させることができると考えていたのです。しかし、これまでは、利用者が検索エンジンとどのように対峙し、利用者が検索結果画面をどのように認識し、リストを閲覧し、クリックしているかといった検索行動を明らかにした研究を本格的に行った調査はありませんでした。そこで、今回の調査を実施してみたのです。

−− 利用者の目線の動きをトレッキングするとなると、実際に利用者にパソコンとインターネットを使ってもらって調査したのですか?

渡辺東京都下、武蔵野市の吉祥寺で街中を歩いている人を76名ほどピックアップして、実際にパソコンとインターネットを使ってもらって調査しました。街中でランダムにモニターを人選したのには理由があります。今回は、調査対象の検索エンジンをGoogleとYahoo!に限定したのですが、たとえばインターネットを使ってモニターを集めると、普段からネットを使っている人ばかりが集まってしまいます。「普段からインターネットを使っている人といない人」、「Googleを使っている人といない人」、「Yahoo!を使っている人といない人」というようにバランスよく集計するために、街中でランダムにピックアップしたのです。

−− 調査結果で特徴的なことは何でしたか。

渡辺Yahoo!の 検索の視線移動は「I型」と「逆L型」になりました。画面上部に検索連動型広告が表示されている場合は、画面上部の広告や自然検索結果の上位付近の画面上から下にかけてタイトルの先頭部分を中心に視線が移動するのです。それで「I型」の移動となります。画面上部に広告が表示されていない場合では、Yahoo!検索上部に画面左から中央右にかけて表示される「関連検索ワード」や「Yahoo!カテゴリ」が最初に注視される傾向がありました。その後に、自然検索の1位以下が注視されるため、「逆L型」のような形となります。「関連検索ワード」のクリック率が比較的高いことは一般的に言われていましたが、今回のアイ・トラッキング調査の結果はそれを裏付けています。

一方、Googleでは、「L型」と「E型」です。画面上部に検索連動型広告が表示されている場合、「画面左上を起点に、上から下に視線が移動」して、その後に「タイトルの先頭から最後まで注視される」傾向が観察されました。そのため「L型」になるのです。画面上部に広告が表示されていない場合は、視線が上から下に移動しつつ、タイトルを注視し、説明文を流し読みするため「E型」となるのです。この結果は、Yahoo!検索利用者と比較してGoogle利用者はタイトル文字の内容を見てクリックする場所を決めている傾向が強いことを示しています。

−− I型やE型など、やはり検索エンジンによって利用者の目線の動きは違うのですね。

渡辺さらに特徴的なこととしては、著名サイトの直下のサイトはクリック率が低い傾向にあったということです。今回の調査では、検索結果画面上での目線の動きの他に、クリック率の調査も行ないました。その結果、Google、Yahoo! ともに、ある有名な価格比較サイトの直下に表示されているリンクはクリックされる確率が低くなる傾向が見られました。つまり、検索の順位が上位であれば必ずクリック率が高くなるのではなく、上下に表示される競合サイトの存在もクリック率に大きな影響を与えると考えられます。また、このことは「ブランド」の力も示していると感じます。検索結果が上位であればいいのではなく、サイトそのものに「ブランド力」がないとやはり、なかなかクリックしてはもらえないのです。今後は、今回の調査をベースにして、マイクロソフトのLive Search(MSN)など、さらに他の検索エンジンにも対象を広げて、利用者が実際にどう使っているのかを解析し、検索エンジンマーケティングで指摘されていることが果たして正しいのか・・・。本当に「検索上位でなければならないのか」といったことを、より正確に分析していきたいと考えています。なお、調査に関する詳細は弊社のウェブサイトで公開しています。ぜひ、ご覧になってください。

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