最新動向レポート
第78回 数百万世帯の動向データで食品関連マーケティングを支援
- クックパッド株式会社
- 代表執行役/Founder & CEO
- 佐野 陽光 氏
- http://cookpad.com/
消費者がいま求めているのは何か? マーケティング関わる者にとっては、その動向をつかむことが重要だ。定型の質問を並べたアンケートでは見えづらい「日々のニーズ」を集め、分析し、販売/営業戦略立案に役立つデータを提供する……。そんなサービスを提供するのがクックパッド株式会社だ。400万件を超える月間利用者の動向をデータベース化し、食品メーカーや流通系の企業に提供している。同社のサービス『たべみる』を中心に、話を伺った。
(2008 6/17)
−− 最初に、クックパッドのサービスについてご紹介下さい。
佐野クックパッドは、1998年10月にスタートした情報サービスです。『毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす』をミッションに、会員が投稿するレシピ(メニュー)情報を登録・公開しています。
登録したレシピ情報は、さまざまな方法で検索できるようにしています。食材などの条件で検索することにより、「いま食べたい料理」「気になるレシピ」を簡単に探せるようにしました。また、会員同士のコミュニケーション機能も用意します。月間利用者数は446万人を超え、日本最大のレシピサイトという評価を頂いています。
サービスの特徴は、多様性です。料理の好みは、人によって異なります。同じメニューでも、地域や人によっておいしく感じるかどうかは変わります。投稿をそのまま掲載することで、料理の多様性を感じてもらえるように工夫しています。投稿者/利用者それぞれの主観を大切にした作り、ですね。寄せられたレシピ情報をチェックしてふるいにかけるようなことはしていません。多様性も、利用者の方にとっての魅力だと考えています。
当社のビジネスは、この『クックパッド』を活用したマーケティング支援を中心に、広告事業、会員向け事業(出版、有料サービスなど)の三本柱となっています。昨年11月にスタートした『たべみる』は、マーケティング支援事業の一つという位置づけです。
−− マーケティング支援事業について、もう少し詳しく教えて下さい。具体的には、どのような企業との連携が多いのでしょうか。
佐野Web上の『クックパッド』は、生活者−30代の女性が中心(会員の97%を占める)−がほぼ毎日「今日何つくろう」と考えながら利用する「食卓の意思決定」サイトです。
具体的には、複数の食品メーカー/流通系企業の方と共同した事業を行ってきました。サイト上で『焼肉のたれ』を使ったレシピコンテストを開催し、寄せられたメニューを公開。定番食品の新しい可能性をアピールする。調理用具の便利な使い方を募集し、店頭POPやレシピカードなど、販促プロモーションに活用する。コンビニエンスストアの新商品開発時に、共同でメニューを考案する。……といった事業を展開してきました。 生活者が求めているのは何か、検索語等から分析することで、食に対するニーズの変化や動向が見えてきます。動向を分析し、データを食品メーカーや流通系企業にご提供/ご提案することで、『毎日の料理を楽しみにする』ことのお手伝いができると考えています。
こうした事業を展開する中で、メーカー/企業向けの新しいサービスとして加えたのが『たべみる』です。全国約446万世帯の家庭の料理に対するニーズを見やすい形で整理・提供することで、顧客企業のマーケティングを支援できると考えています。
−− 『たべみる』の仕組みについて、教えて下さい。
佐野『クックパッド』には、いくつかの検索機能を用意しています。私たちは、利用者が検索したキーワードの情報ログをデータベース化しています。こうしたサイトのログからわかるデータを収集・分析して、料理に関するデータベースとして提供するのが『たべみる』サービスです。
『たべみる』では、SI値(Serch Index値)という指標で、検索に用いられた語句の年間推移を表示します。また、人気の高いレシピ情報を紹介する機能もあります。食材・季節・地域・イベントなど、さまざまな切り口で分析できるようにしています。最大の特徴は、アンケートのように実施側が用意した質問に答えてもらうのではなく、ユーザーが「自分の興味があること」を元にデータを収集・分析している点です。消費者/生活者の生の声がわかる、という点が、大きな魅力でしょう。
『たべみる』以外のマーケティング情報として考えられるPOSデータとの違いは、“潜在的な需要がわかる”ところにあります。POSデータは売れた分の集計には役立ちますが、「買いたかったけど、買えなかった」という消費者の声は反映できません。「このレシピに興味がある」という検索語のログを分析することで、売上に現れなかったニーズを把握することが可能になっています。
また、地域差や季節による違いなどの動向を、定量的に把握できることも大きな特徴です。たとえば「茄子を使ったカレーが人気のようだ」などの話題があったとしても、それを定量的に把握できなければマーケティングには役立ちません。具体的な企画にするためには、説得力のあるデータが必要です。そんなときに『たべみる』上で分析すれば、本当にそのレシピに対するニーズがあるのかどうかを判断できます。
こうした特徴が評価され、複数の企業が『たべみる』を利用しています。今後もマーケティング支援事業の一環として、より充実したサービスになるようにしていきたいと考えています。
