AT&Tのサービス導入事例
−EVPNサービス(国際IP-VPN/インターネットVPN)−

USER事例2 川崎マイクロエレクトロニクス株式会社様

AT&Tとのパートナーシップで、グローバル・ネットワークを刷新

ASIC(特定用途向け集積回路)専業メーカーとして、ネットワーク機器やデジタル家電の進化を支えている川崎マイクロエレクトロニクス。
国内に加え、米国、台湾、インドに拠点を展開するなど、そのビジネスは世界へと広がっている。
そんな同社が今年、ビジネスのさらなる拡大を目指して取り組んだのが、AT&Tとのパートナーシップに基づく グローバル・ネットワークの刷新プロジェクトだ。本稿では、そんな同社のプロジェクトの軌跡を紹介する。
世界規模でASICの設計開発を展開
川崎製鉄(当時)のLSI事業部が、2001年7月に分社独立するかたちで創業した川崎マイクロエレクトロニクス(以下、川崎マイクロ)。同社は、事業開始当初から一貫してASIC(特定用途向け集積回路)の可能性に着目し、専業メーカーとして順調にビジネスを拡大してきた。
昨今、ネットワーク機器やデジタル家電といった市場において、半導体に対するさらなる高集積化、高速化、高機能化、低消費電力化への要求は高まる一方の状況にある。そうした中で、システム機器の差異化を実現するカギとして重要性を増しているのがASICだ。ゆえに、同社が産業界で担うべき役割はますます大きくなっていると言える。
野澤 修 氏

川崎マイクロエレクトロニクス
システム室長
野澤 修 氏

そしてもう1つ、同社のビジネス戦略上、重要なポイントとなっているのが、グローバル展開である。同社は国内に製造拠点(宇都宮工場)を有しているが、一部の先端生産プロセスに関しては、製造技術力、コスト競争力に秀でた台湾などの海外企業に委託するというアプローチをとっている。その代わりに上流工程である設計開発プロセスに経営リソースを重点的に配分しているのだ。また、“かなめ”となる設計開発の拠点も世界に展開している。幕張本社、札幌の国内拠点に加え、米国(ボストン、サンノゼ)、台湾(台北)、インド(バンガロール)にも拠点を展開し、ワールドワイドで共同開発を行う体制を築いている。
こうした同社のビジネス環境を支えているのが、AT&Tが提供するグローバル・ネットワーク・インフラだ。川崎マイクロのシステム室長を務める野澤修氏は、ネットワーク環境の重要性をこう力説する。
「我々は現在、世界各地の拠点で設計データを共有して設計開発を行っているため、仮にネットワークが停止してしまえば、かなりの業務がストップしてしまう。また、ASICという特注半導体を設計することから、顧客の機密を守らなければならないという課題もある。つまり、24時間365日の安定稼働と、不正アクセス防止などの高度なセキュリティを同時に満たすネットワーク環境がどうしても必要だ」
ネットワーク基盤の刷新のパートナーとしてAT&Tを選択
もっとも、設計開発を重視しつつ、グローバル展開を進めるというそのビジネス形態から、川崎マイクロでは以前からネットワーク・インフラの強化を精力的に進めてきた。以前から、大手通信キャリアのサービスを利用して国内ならびに海外向けにIP-VPN環境を構築し、各拠点間をシームレスにつなぐグローバル・ネットワークの運用を続けてきたのである。
安藤 誠英 氏

川崎マイクロエレクトロニクス
システム室 マネージャー
安藤 誠英 氏

だが、時間の経過に伴い、この従来型ネットワーク環境にもさまざまな問題が見え始めてきたという。同社システム室マネージャーの安藤誠英氏は、次のように語る。
「半導体プロセスの微細化、ASICに組み込む機能の高集積化が進むにつれて、必然的に設計データの容量も大きくなってきた。その結果として、必要な設計データを拠点間で送受信するだけで数時間もかかってしまうといったケースも出始めた」
また、設計開発プロセス自体の高度化も、ネットワークの負荷を増大させる要因となった。設計データを送受信するだけでなく、1つのリポジトリに格納されたデータに各拠点からアクセスして、リアルタイムに参照しながら作業を進めるといった形態が増えてきたからである。
いかに低コストで通信回線の帯域幅を増強し、なおかつセキュリティ・レベルを確保するか──この課題を解決するために、川崎マイクロが導き出した結論は、AT&Tが提供するネットワーク基盤へのリプレースであった。
当時を振り返って野澤氏は、「AT&T EVPNも従来型ネットワークと同様に国際IP-VPNをベースとしたサービスであり、現行の運用形態をまったく変えることなく、セキュリティ・レベルを維持できる。そのうえ、海外拠点に対する回線の帯域幅を大幅に増強しながらも、コストを削減できるという魅力もあった」と語る。
一方の安藤氏は、“AT&T”というブランドの信頼感も大きかったと語る。
「やはり、海外での豊富な実績を持っていることがポイントだった。しかもAT&Tは国内外を問わず、各拠点のCEルータのLAN側インタフェースまで一括してサービスを提供してくれる。我々管理者の立場からしても、ヘルプデスク対応も含めてグローバル規模で一元化できるメリットは大きかった」
決め手となったプロジェクト・マネジメント力
とはいえ、前述したように、業務を継続させるうえで不可欠なITインフラの中でも、さらにミッション・クリティカルなインフラであるグローバル・ネットワークの再構築には、多大なリスクがつきまとうのも事実だ。万一でも“切り替え”に失敗して、ネットワークが停止したり、重大なトラブルに見舞われたりすれば、川崎マイクロが被る金銭的な損害もばかにならない。
その意味から、同社がベンダー選定のプロセスで特に重視したのが「プロジェクト・マネジメント力」だったという。野澤氏はこう語る。
「AT&Tからは、商談の早い段階から、ネットワーク移行に関する基本方針や具体的な方法、プロジェクトの体制、両社の役割分担など、かなり詳細な提案があった。その内容を見て、失敗の許されないプロジェクトを安心して任せられると決断した」
AT&Tが提案した移行プランでは、最初に幕張本社、次に国内拠点、最後に海外拠点──といったように、段階を踏んでネットワーク環境を切り替えるアプローチが採用されていた。移行途中におけるトラフィックの流量や特定のポイントにかかる負荷の増減なども緻密に計算されたものだったという。そのきめ細かなプランこそが、パートナーとしてAT&Tを選ぶ決め手になったというわけだ。
実際にプロジェクトを進める過程でも、AT&Tのプロジェクト・マネジメントは秀逸だったと、安藤氏は語る。
「プロジェクトが走り出すと、どうしてもユーザーとベンダーとの間には何らかのコミュニケーション・ギャップが生じる。その問題を、AT&Tは素早いタイミングで埋めてくれた。電話や電子メールで頻繁に連絡を取り合う体制を築いてくれただけでなく、頻繁に我が社を訪れてくれ、フェイス・ツー・フェイスで詳細な説明を行ってくれた」(安藤氏)
次なるビジネスのための基盤を確立
こうして、2006年9月17日、川崎マイクロのネットワーク移行プロジェクトはすべての作業を完了。以後、新しいグローバル・ネットワークが順調に稼働している。
「現場の技術者に対しては、とりたててネットワーク基盤を刷新したことを知らせてはいない」と語る野澤氏だが、各拠点からは、「ネットワーク・レスポンスが良くなった」というポジティブな声が寄せられているという。こうした現場からの反応は、プロジェクトが成功したことを何よりも雄弁に物語っている。
当の野澤氏も、今回のリプレース・プロジェクトが、ネットワーク・インフラの可能性にあらためて着目する大きなきっかけになったと述懐する。
「いま実際に動いているインフラを変更するのは、どんな企業にとっても勇気がいること。だが、ネットワーク技術の進歩は特に著しく、上手にリプレースしていけば、コストを下げていくことも可能だ。旬のサービスを随時取り入れながら競争力を高めていくためにも、適切なタイミングでネットワーク基盤を見直すことが重要だということをあらためて学んだ」(野澤氏)
AT&Tとの緊密なパートナーシップのもと、川崎マイクロは、強固なグローバル・ネットワークの基盤を確立し、次なるビジネスに向けて積極的な攻勢をかける準備を整えたのである。

USER PROFILE

川崎マイクロエレクトロニクス株式会社
社名 川崎マイクロエレクトロニクス株式会社
本社 千葉市美浜区中瀬一丁目3番地
事業概要 ASICを中心とした半導体製造事業
設立 2001年7月2日
従業員数 約600人
売上高 460億円
http://www.k-micro.com/
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